――あの全世界を震撼させたマテリアルゴーストシリーズ開始から八ヶ月……
――遂に彼女がスピンオフとして降臨する……
その名も!
『帰宅部部長 真儀瑠紗鳥の事件簿~死神の葬送曲~』
遂に彼女、真儀瑠紗鳥がその『主人公』としての才覚を発揮する!
マテリアルゴーストシリーズでは、「私、なんでこの物語に出ているんだろう……幽霊みえないのに」と一人だけ置いてけぼりを食らい続けている彼女!
しかしそんな彼女も、時と場所さえ合えば、史上最強の主人公となるのだ!
そう
彼女の本分は『迷推理』にあり!
それでは、その物語のあらすじをここでご紹介しよう。
*
地図からは消された島、死神島の別荘に招待された真儀瑠紗鳥、中学三年生。後輩をからかうのも最近マンネリ気味だと感じた彼女は、その後輩を連れて(拉致して)島へ向かおうとするのだが、問題の後輩は船で島に渡る途中、真儀瑠紗鳥の悪ふざけによってデッキから転落、海の藻屑と消えてしまう。
「み、見捨てるなぁー! 溺死はいやだぁぁぁー!」
という後輩の叫びを無視し、「アイツなら死んでも死なないだろ。マテリアルゴースト本編の時系列はまだ先だからな」とサラリとメタなことを告げ一路島へ向かう真儀瑠紗鳥一行(既に一名脱落)。
別荘に招かれた人間は真儀瑠紗鳥を含め八人。顔に傷のある執事、見分けがつかない双子、顔を包帯でぐるぐる巻きにした男、刑事と名乗る中年男性、謎のゴシックロリータ少女、そしてガムをくちゃくちゃ噛む不良青年。
「ふむ。第一の犠牲者はお前だな」
メンバーを見た瞬間に冴え渡る真儀瑠紗鳥の推理! 彼女は不良青年に不敵に笑むのだった。不良青年の「おまえっ! それ、キャラの性格で判断しただろう! なあ!」という声も、彼女の耳には届かない。
案の定、真儀瑠紗鳥の推理どおり、第一の殺人はその夜に起こった。不良青年が、文章では書けない様な死に方で死んだのだ(手抜き)。彼の傍らには血で書かれたダイイングメッセージ、「やっぱ俺かよ、納得いかねぇ」。真儀瑠紗鳥はそれを見て、また不敵に笑むのだった。「私の推理力を見たか」と。
……色んな意味で震える他のメンバー達。
その事件以降、「なんだかんだで」殺されていくメンバー達。この過程は真儀瑠紗鳥の出るシーンが少ないので端折られ、彼女の推理シーンに物語りは一瞬で移行する。
「全ては推理できた! 犯人はこの中に居る!」
満を持して告げる真儀瑠紗鳥! 果たしてこの惨劇は止められるのかっ! そもそもこの惨劇自体、割と真儀瑠紗鳥の責任じゃないのかっ!
果たしてその驚愕の犯人とはっ!
真儀瑠紗鳥の下す決断とはっ!
後輩は自分の物語の本編が始まる前に死んでしまうのかっ!
続きは劇場に急げっ!
*
全米(ごはんつぶに聞いた)ランキングナンバーワンの超大作!
これを見ずしてマテリアルゴーストは語れない!
今世紀最強のヒロインを目撃せよ!
『帰宅部部長 真儀瑠紗鳥の事件簿~死神の葬送曲~』、カミングスーン!
続報を待て!(未来永劫に)